日本カーボン株式会社 元執行役員が語る 産業の川上から川下までを読み解く“素材ビジネスの本質”とは

長年にわたり化学品や炭素素材の領域で第一線を歩んできた梅田顧問。
化学メーカーや鉄鋼企業との深い接点を生かし、特殊塗料の市場開拓支援や紹介活動に取り組んでいます。
今回は、そんな梅田顧問のキャリアの歩みや転機となった経験、ご紹介活動への想いなどについて伺いました。
これまでの歩み
化学と炭素の現場で磨いた“俯瞰の視点”
梅田顧問のキャリアは、総合商社である豊田通商株式会社(旧株式会社トーメン)への入社から始まります。
化学品本部で基礎原料の販売に携わりながら、輸出入実務を通して商社としての基礎を身につけました。
その後、ロシアでの語学研修を経験し、帰国後は石油化学品の商流全般を担当しました。原料から誘導品まで幅広く扱ったことで、化学品の全体像をつかむ視点が形成されていったと語ります。
その後、炭素系素材の知見を深めるため化学メーカーへ転職し、コールタール関連品や炭素繊維、電池材料などの販売を担当。
さらに三菱商事株式会社へ転職し、炭素原料・製品全般を世界規模で取り扱いました。合弁会社の設立やアライアンスの構築に関わり、市場づくりそのものに携わったことが大きな経験になったと振り返ります。
日本カーボンに転じた際は、執行役員として欧州・米国の拠点立ち上げを担当し、現地での組織づくりや市場開発に向き合いながら、関連会社での経営実務も経験しました。
現在は企業の経営企画を担う顧問として活動し、これまでの経験を生かして組織運営の支援に取り組んでいます。
転機となった経験
炭素ビジネスが開いた“産業全体を見る”視座
梅田顧問にとって大きな節目となったのが、三菱商事での炭素ビジネスの経験です。
韓国最大の鉄鋼メーカー、ポスコと三菱ケミカル の合弁事業では、原料供給、物流、工場稼働といった複数の工程が連動する大きな枠組みの中で仕事を進める必要があり、従来の“素材を扱う担当者”という立場を超えて、事業や市場全体の流れを意識せざるを得ない場面が多かったといいます。
梅田顧問は「これほど広い視野で物事を捉えたのは初めてでした」と振り返ります。
大きな産業構造の中では、一社の売上だけを伸ばしても意味がない。
素材産業そのものが拡大しなければ、取引先やサプライヤーも持続的に成長できない。──そのことを実感した経験でした。
こうした経験が、後のキャリアにおいても“産業全体を見る”という姿勢の基盤になったと語っています。

ご紹介活動への想い
最適な出会いをつなぎ、事業の可能性を開く
梅田顧問は、化学品・炭素素材・鉄鋼といった領域で長年培ってきた経験をもとに、企業同士の「最適な接点」を見極めながら紹介活動にも取り組んでいます。
商談の場に立ち会う中で、双方が自然と前向きに話を進めている表情を見ると強い手応えを感じると振り返ります。「初回の商談で成約に至らなくても、確かなご縁になったと思える瞬間がある。それが一番うれしい」と話し、出会いの場を創出する紹介そのものが価値になると語ります。
現在、顧問として支援する企業では、自身の経験を踏まえ、「どの産業なら価値が伝わりやすいか」「どこに需要があるか」といった視点でターゲット企業を選定し、方向性を提案しています。専門領域の知見が深いからこそ、企業側も安心して相談できる関係が築かれています。
まとめ
梅田顧問は、石油化学・炭素素材・国際事業の最前線で培った経験を通じて、「個社の成長は、産業全体の健全な発展があってこそ成り立つ」という一貫した信念を持ち続けています。
素材産業やエネルギー産業は、企業同士がシェア争いに走ると市場が縮小し、産業基盤そのものが揺らぎかねません。だからこそ梅田顧問は、国内外のサプライチェーンと市場全体を俯瞰し、競合を含めた“共創”によって価値を広げていく姿勢を重視しています。
企業の枠を越えて価値をつなぎ、広げ、深めていくことで、新しい可能性が生まれる──。その信念のもと、今後も産業や社会全体が成長するための力を惜しみなく発揮していきます。
この記事の監修者

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清水 聖子
株式会社エスプール
ヒューマンキャピタル事業部 ニアバウンド支援部 サービス推進グループ


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